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2010年12月号 ストレスホルモンの減少とマッサージの効用

ストレスホルモンの減少とマッサージの効用米国・カリフォルニア州のUCLA大学の教授・博士らが、「Journal of Alternative and Complementary Medicine」2010年10月号に発表した研究で、たった一回のマッサージ治療で、視床下部-下垂体-副腎系の内分泌を活性化し、免疫機能を向上させることが明らかになった。

実験内容は、健康な18歳から45歳の53人の被験者を対象に、29人は45分間の普通のマッサージを、24人は非常に弱いマッサージを45分間治療行った。マッサージは、マッサージ療法に習熟したプロの治療師が行なった。

被験者たちは、マッサージ治療開始5分前と1分前に血液が採取され、45分間の治療が終了してからも1分、5分、10分、15分、30分、60分経過後にそれぞれ血液が採取された。 採取した血液を分析した結果、非常に弱いマッサージを受けたグループと比較して普通のマッサージを受けたグループでは、攻撃行動に関係があるとされるホルモンのアルギニン・ヴァソプレシンが減少し、ストレスホルモンであるグルココルチコイドも減少した。さらに、循環するリンパ球の数も増加し、刺激を受けた白血球が産出するサイトカインも顕著に減少した。

こうした結果から研究チームは、マッサージは、単に気持ちが良いだけではなく、医学的に「健康にプラスの効果をもたらすことは、明らかだ」としている。

現代社会は、ストレスが多く、ストレスが原因で身体や心の不調を訴える患者さんは非常に多い。ストレスを受けると、大きく分けて3つの身体のシステムが影響を受ける。

  • 「自律神経」バランスが崩れて、交感神経が優位になり、循環・消化・呼吸・発汗・体温調節・代謝などが上手く調節できなくなり、不眠症、動悸、イライラなどが起こる。
  • 「ホルモン内分泌」大きなストレスが加わるとストレスホルモンと呼ばれるグルココルチコイドが大量に分泌され、健康なホルモン分泌機能がさまたげられ、更年期障害など様々な病気の原因となる。
  • 「免疫機能低下」免疫力が低下することにより感染症や、ガンなどの重篤な病気になるリスクが高くなる。

投稿者:tcm-editor

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